分子インプリント法(Molecular Imprinting, MIP)においては,ターゲット分子存在下でモノマーを重合させる(すり込む)ことで,ターゲットを特異的に認識するポリマーを合成でき,これを人工抗体と呼ぶ人もいる。しかし,MIPで得られる認識能,特異性は抗体分子のそれに比較するとかなり劣るのが実情である。我々は,2種類の抗体可変領域断片を抗原存在下でCMデキストランと結合させたポリマーは,抗原非存在下で結合させたポリマーに比べて飛躍的に分子認識能が高まることを見出し,これをオープンサンドイッチ分子インプリント法(OS-MIP)と呼ぶに至った。更に我々はOS-MIPに用いる2種類の抗体断片を別々の蛍光色素でラベルし,抗原濃度をその場(in situ)でリアルタイムに蛍光(FRET)測定することにも成功した。OS-MIPOS原理とMIPの融合による新原理の免疫センサーとして,今後幅広い応用が期待される。
(本研究は富士フイルムとの共同研究です)

Reference


K. Minami, M. Ihara, S. Kuroda, H. Tsuzuki and H. Ueda "Open-sandwich molecular imprinting: making a recognition matrix with antigen-imprinted antibody fragments" Bioconj. Chem. 23, 1463-1469 (2012). [DOI][Abstract]

特許 第5371690号,第5518450号 「断片化抗体固定化担体及びその製造方法」
   中国 
ZL200980142052.X ZL200980147877.0 同上
スクリーンショット(2012-06-11 21.12.27)