一般に,低分子(ハプテン)に対する抗体はハプテンをキャリアタンパク質に結合させたコンジュゲートで感作しなければ作ることが出来ない。これはファージを用いた試験管内選択法でも全く同じで,この結果コンジュゲートには結合するが遊離ハプテンには十分な特異性・親和性を持たない抗体が取れてくることが極めて多い。我々は,オープンサンドイッチ原理をこのような低分子認識抗体の分子進化に応用できないかと考え,低濃度の抗原ペプチド存在下でもVLに結合できるVH変異体をファージ提示ライブラリから選択することで,OS-ELISAにおいて飛躍的に感度の向上した変異体を得ることに成功した。また得られた抗体は抗原に対して高い親和性を持っていた。これは(生体内外を問わず)コンジュゲートを使わずに低分子認識抗体を選択したおそらく初めての例であろう。

また最近,低分子ハプテン認識抗体についても本法により親和性と特異性の向上した変異体の取得にも成功し,本法の汎用性が示された。


Reference

H. Iwai, B. Ozturk, M. Ihara and H. Ueda Protein Eng. Des. Sel. 23, 185-193 (2010).[Abstract][DOI][プレスリリース]
X. Liu, M. Eichenberger, Y. Fujioka, J. Dong and H. Ueda Anal. Sci. 28, 861-867 (2012). [DOI][Abstract] * Selected as a Cover Illustration


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