トランススプライシング(TS)とは,通常のpre-mRNAが受けるシススプライシングと異なり,二つの異なるpre-mRNA同士のスプライシング反応によってどちらとも異なる成熟mRNAが生み出される現象であり,自然界では線虫,トリパノソーマでしばしば,さらに哺乳類でもまれに見受けられる。我々はこのTSを人工的に利用して,二種類の蛋白質由来ドメインからなる融合蛋白質構築に用いることが出来ないか検討した。具体的にはオープンサンドイッチ法に有用なVH-分泌型アルカリフォスファターゼ(SEAP)の発現を目的に,抗体pre-mRNAV-Cドメイン間イントロンをターゲットとするTS用ベクターを構築し,これをIgM H鎖産生細胞に導入することによってTS由来mRNAさらには融合蛋白質の検出に成功した。また,TSベクターの改造により,より一般的なFab-SEAP融合蛋白質を細胞から分泌発現させることにも成功した。現在これらのベクターを各種ハイブリドーマに導入し,迅速かつ効率的に融合蛋白質を発現できないか検討している。

ピクチャ 1
Reference

R. Iwasaki, H. Kiuchi, M. Ihara, T. Mori, M. Kawakami and H. Ueda "Trans-splicing as a novel method to rapidly produce antibody fusion proteins" Biochem. Biophys. Res. Commun. 384, 316-321 (2009).[Pubmed]


特許 第5081462号 「トランススプライシング法による融合タンパク質作製方法」